【激レアさんを連れてきた】浅草をゴーストタウンから日本有数の観光地に蘇らせた蕎麦屋の女将さん

2019年9月7日放送「激レアさんを連れてきた。」では、 『持ち前のチャキチャキ過ぎる性格でゴーストタウン一歩手前だった浅草を日本有数の観光地へと蘇らせた伝説の女将』 が登場しました。

どん底の浅草を奇跡的に復活させた女将ってどんな人?

今回登場したのは、富永照子さん。 1937年(昭和12年)浅草生まれ浅草育ちの生粋の江戸っ子。 「手打ちそば十和田・すしや通り店」の、4代目女将。

1970年代に衰退した浅草の街を見事復活させたり、全国で初めての女性だけの協同組合「浅草おかみさん会」を発足させたり、現在でもお蕎麦屋さんの店頭で接客したりと、バリバリ現役の82歳です。

江戸っ子はせっかちと言いますが、ご多分に漏れず照子さんも超せっかち。 どのくらいせっかちかというと、 焼肉は焼けるまで待てないのでほぼ生で食べちゃったり、カレンダーも31日まで待てないので29日で破って次の月に行っちゃうくらい。

どんな女将さんだったのか? インタビューで萩本欽一さんが登場して語ってくれました。
「若いころ自分のお店の食券作って若い芸人に配ってくれたんだよ。浅草の芸人が大事だって言ってくれた人。 あの人の大きな声と頑張りが、浅草に賑やかさを取り戻してくれたんだよ」

蕎麦屋の女将さんがどうやって浅草を復活させたか?

浅草は、昭和30年代は映画街としてにぎわっていましたが、東京オリンピックを境にテレビが台頭、映画娯楽中心の浅草はまともに影響を受けて、衰退してしまいます。
欽ちゃんも、当時は浅草出身と言ってはいけない雰囲気があったとのこと。 何とかしなきゃいけないと思っていた女将さん。

女将さん、ロンドンからバスを買う

そんなある日、ロンドン旅行帰りの商店組合の旦那衆の話で、二階建てバスの話を聞き、それだ!と即決。
バスは1台1500万円。 しかし資金は自分のへそくり10万円しかありません。

そこで女将さんは、ある洋酒メーカーがビールが売れなくて困っているという話を聞きつけ、商店街でビールを買い取るからと申し出て、ついでにスポンサー契約をして、何とか資金を集めてしまい、1500万円のバスを二台買っちゃいます。
「珍しいいものなら何でもよかったのよ」と女将さん。
「企画書薄いなあ」と突っ込む若林。

ところが新たな問題が発生。 当時の法律では車高制限が3.8m。なのに二階建てバスは4.3m!高すぎてこれでは運行できません。

しかし女将さんはへこたれません。
運輸省(現在の国土交通省)に乗りこみ、なんと大臣を直接口説き落として、超法規的に認めさせてしまうのです。

こうして1981年(昭和56年)3月29日、浅草~上野間で運行を開始。 全国各地からお客さんが集まり、1か月で10万人が二階建てバスを楽しみました。
期間限定の企画でしたが、バス目当てで来たお客さんが商店街にも流れてきてくれたので、商店街の売り上げは飛躍的に増大しました。

古き良き街並みと異国文化のミスマッチは当たる!と直感した女将さん。次なるイベントを探します。

女将さん、ブラジルからサンバカーニバルを呼ぶ

そんなある日、ブラジルでサンバカーニバルを見てきた当時の台東区長が、ほぼ裸の女が踊りまくる祭りがあるんだよと感動を込めて話すのを聞き、それだ!と即決。

さて問題は運営費をどうするか。
ダンサーの渡航代だけでも2000万円。当然そんなお金は有りません。

そこで女将さん、今度は、保険や映画館などスポンサーになってくれそうな会社の乗客になり、好印象を与えたところで交渉する、という地道な作戦を展開します。

でも、いろんな保険に入ったり映画館のチケットを大量購入する資金は、すべて自腹。「エサ撒かないと食いつかないでしょ」と、言い切るところがおかみさんのすごいところ。

ということで次々商談が成立。またしても資金を調達してしまいます。
そして1981年(昭和56年)8月29日、本場ブラジルのサンバカーニバルを浅草で開催。なんと、1日だけで30万人が集まりました。

女将さん、ROXを建てる

しかしそのころ、渋谷に109ができて、東京の賑わいが西の方へ移ってしまいます。
どんなにイベントを開いても賑わいは一時的。やはり街自体をなんとかしなきゃ、と気づく女将さん。

ちょうどそのころ、5つの映画館が潰れた跡地に大型商業施設建設の再開発計画が持ち上がります。
しかし諸事情あって計画がとん挫。残念でたまらない女将さん。でも計画を遂行するためにはその1000坪の土地を買うしかありません。
総額30億円。どうする女将!

そんな時、老舗の大ホテル・ホテルニューオータニの大谷社長が女将さんを訪ねてきます。
なぜ突然そんな人が? 実は女将さん、ちょっと前に亡くなった女将の旦那が遊び人で、その旦那が残した愛人がお金に困って泣きついてきたのを面倒を見てあげていたんです。「性格のいい子だったからね」

大谷社長は、なんとそのエピソードに感動して会いに来たのでした。
「こんな粋な女性は見たことが無い。私でよければ何か力になりたい」と言うのです。

そこで女将さん、すごいこと言っちゃいます。「あそこの土地を買っておくれ」
何と大谷社長、言うことを聞いちゃいます。ポンと30億円を出してくれちゃいました。

そして1986年(昭和61年)大型商業施設ROXが誕生。ショッピング、スポーツジム、イベントスペース、日帰り入浴施設などが充実した幅広い年代が楽しめる施設となりました。

女将さん、新駅も作っちゃった!?

おまけに、新たに開通した「つくばエクスプレス」もいつのまにか浅草を通るルートになっていました。そして駅はROXの目の前。

実は女将さん、当時の国鉄に、浅草を終点にする電車を通してくれと直訴しに行ったことがあったんです。そのことが功を奏したのかどうかわかりませんが、女将さんの行動力を表すエピソードですね。

これによって浅草はかつての賑わいを取り戻すことができました。

若林「シムシティやってるみたい」
シムシティ…1989年から発売されている市長となって街を発展させるゲームのこと

再び欽ちゃんのインタビュー
「劇場にない浅草なんて浅草じゃないよって言ったら、女将さん、ダイエーの中内さんに会ってほんとに劇場作っちゃったんだよ」

浅草の街の人で、女将さんを知らない人はいません。街頭インタビューでは皆さん感謝の言葉であふれていました。

「手打ちそば十和田」4代目女将

最後に、女将さんこと富永照子さんが4代目女将を務める老舗「手打ちそば十和田・すしや通り店」のお店情報を。

住所: 〒111-0032 東京都台東区浅草1-13-4
TEL: 03-3841-7375
営業時間:月~金 11:30~15:30/17:00~22:30
土 11:30~22:00/日 11:00~21:00
定休日:不定休 (年末年始)
最寄駅:つくばエクスプレス 浅草駅 徒歩3分 東京メトロ銀座線 田原町駅 徒歩3分 東京メトロ銀座線浅草駅 徒歩4分

大正13年創業。素材にこだわり、蕎麦は十和田湖周辺の山岳地方で契約栽培した蕎麦粉を使用。
化学調味料や添加物などを一切使わず、つゆは本鰹節だけを贅沢に使った自家製。
食材は、魚は築地直送。岩手県遠野直送の暮坪かぶ、青森の鴨、秋田の比内地鶏など産地直送のものを使います。

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