ドラマ【サイン】感想は?視聴率は?これからどうなる?

『サイン 法医学者 柚木貴志の事件』は、 2019年7月11日(木)よりテレビ朝日系列で放送されているドラマ。 同名の韓国ドラマの日本版リメイクだそうです。最近多いですね。 ここでは日本版「サイン」のあらすじや視聴率、感想などをご紹介します。

ドラマ【サイン】はどんなドラマ?

原作は、パク・シニャン主演で、2011年に韓国で放送された韓国ドラマ。
無骨でクセのある天才法医官と新人女性法医官が事件の真相を追求していくストーリーは、 韓国版「CSI:科学捜査班」と呼ばれ、韓国で初めて法医学を扱った本格メディカルサスペンスドラマとなりました。

スピード感溢れるストーリー展開は話題となり、最高視聴率25.5%を記録しました。 さらに「大韓民国コンテンツアワード」の放送映像グランプリ部門で大統領賞も受賞しています。

パク・シニャンは「パリの恋人」など大ヒット作品に数多く出ているベテラン俳優。 メガネキャラで、いわゆるイケメンではありませんが、圧倒的な芝居のうまさと魅力的な声で人気の実力派俳優です。
粗野な天才法医官を見事に演じていました。

韓国版では実際にある法医学鑑定機関の「国立科学捜査研究院」が舞台でした。 日本で言うところの「科学捜査研究所」と「監察医務院」が混ざって巨大化したような機関ですね。

でも日本では、解剖に関しては、警視庁の管轄は「監察医務院」、他県は各大学病院などが委託されて行い、科学捜査および分析は、各都道府県の警察本部の刑事部が「科捜研」を擁しているなど別々の機関に分かれていて、韓国の「国立科学捜査研究院」にあたる同じ機関がありません。

なので、「日本法医学研究院」という架空の組織を設定しています。
日本版では、大森南朋演じる武骨な天才法医学者と飯豊まりえ演じるその新人助手のコンビが、不都合な真実を隠蔽しようとする権力側の様々な妨害に立ち向かいながらも、事件の真相を突き止めるため遺体の声なき声を聞く、という物語が展開されます。

その他のキャストは、柚木とともに事件を追う警視庁捜査一課・管理官(実は柚木の元妻)に松雪泰子、柚木のライバル法医学教授に仲村トオル、捜査一課の若手刑事に高杉真宙など。

脚本は、映画『パッチギ!』や、朝ドラ『マッサン』を執筆した羽原大介です。

ドラマ「サイン」日本版 第1話あらすじ(ネタばれあり)

人気歌手・北見永士(横山涼)がライブ会場の控室で死体で発見される。 だが、現場からは事件につながる物証は見つからず、死因も特定できない。

そこで、警視庁捜査一課の管理官・和泉千聖(松雪泰子)は遺体を、死因究明に特化した国家機関「日本法医学研究院」へ搬送するよう指示を出す。
「日本法医学研究院」の院長・兵藤邦昭(西田敏行)は最も信頼する解剖医・柚木貴志(大森南朋)に、北見の司法解剖を任せる。

ところが、解剖直前になって、警察庁の依頼を受けたという国立大学の法医学教授・伊達明義(仲村トオル)が突然現れ、自分が北見を解剖することになったと告げる。
納得のいかない柚木は、北見の遺体を保管庫から盗み出し、途中で新人解剖医・中園景(飯豊まりえ)も巻き込んで、強引に解剖を開めてしまう。
その結果、遺体の気道から青い繊維が発見され、柚木は死因を窒息による他殺と断定。

ところが、なんと北見のスタイリストが青酸カリによる殺害を自白。
柚木の検視結果と異なるころから、伊達が再度検視をすることに。

すると伊達は死因を青酸カリだと発表する。
納得のいかない柚木は、ライブ会場の防犯カメラ映像を片っ端から調べ、青い繊維の出所を探し、青いぬいぐるみを持った女性を見つける。

この女性を調べるよう柚木は千聖に迫るが、初の女性捜査一課長を目指す和泉は無視。

柚木は懲罰会議に掛けられ、免許剥奪の危機に陥るが、院長・兵頭が再解剖を申し出る。
ところがその兵頭に伊達が耳打ち。表情が変わる兵頭。

再解剖の結果、死因は青酸カリだということになり、兵頭は今回の一連の騒ぎの責任を取る形で院長を辞任。新院長には伊達が就任。柚木は埼玉の分院に左遷される。

1か月後、そんな柚木を追って、中園景が分院に異動してくる。 そして北見の事件についてまだ諦めてないと、例の青い繊維を柚木に渡す。
実は、景は証拠品をこっそりと入手していたのだった。

(第1話おわり)

ドラマ「サイン」日本版 感想・分析

ドラマはフィクションなのだから、どんな設定があってもいい。 だから何も考えずに見れば十分楽しめる内容でした。

でも、事件モノを見慣れた人にはちょっとしんどいところがあったかもしれませんね。

まず、韓国版の設定の「国立科学捜査研究院」を、法医学に特化した「日本法医学研究院」というのにどうも違和感を感じます。
韓国版の「国立科学捜査研究院」は、科学捜査の研究も技術も「科捜研」のさらに上を行く上位の機関ということでその立派さに納得できます。実在するんですから尚更です。

一方の日本版。法医学に特化してあそこまでの設備?あれだけの権威付け?ほんとかなあ、と思ってしまいます。
だからその院長の座を狙って画策する仲村トオルにもどうしても気が行かない。
実は後に、彼も日本の法医学の将来を憂い高い志を持って、何としてもこの研究院の地位向上を目指しているんだということはわかってくるんですが、それにしてもねえ。 建物と設備が立派すぎて、ただ単に象牙の塔のテッペンをとりたいだけの人にしか見えません。

それは何故か?
テレビ朝日の「サイン」のホームページを見ると「先進国の中でも解剖率が最低レベル、『死因不明社会』と言われる日本の現状を打破しようと、約25年前に設立された国家機関」とあります。

実はこの、「先進国の中でも解剖率が最低レベル」というのは残念なことに事実なんですね。
全国でも解剖医が150人足らず、人的にも設備的にも不足していて、異常死の9割が解剖されていない、という危機的な現状です。

そこを突いて作られたドラマ「アンナチュラル」は納得感がありました。何故ならそれはその危機的な現状を真正面にとらえて作られていたから。

翻って「サイン」日本版の世界ではどうでしょう? 既に25年前にその状況を打破すべく、この研究院が作られたことになっている。
あんなに立派な設備なんだからさぞかし潤沢な予算でバンバン解剖してるんだろうな、と思えちゃいます。
この世界では、全国に大勢の解剖医が配置され状況は改善しているんだろう、法医学会の前途は洋々だ、そんな風にしか見えません。
だって、しつこいようだけどあんな立派な建物で広くて助手がたくさんいるんですもの。
だから大森南朋や仲村トオルの深刻さが嘘くさく思えてしまうんです。

その上、韓国版との差別化を狙ったのか、それとも仲村トオルの見せ場を作ろうとしたのか、権力争いの部分が妙にフィーチャーされているため、違和感が余計に目立つんですよね。

要するに「日本法医学研究院」は、オリジナルのストーリーをなぞって展開させるために、無理やり作られた設定だということです。
でもその必要あったかなあ。あんな設定作らなくても、解剖率最低のリアルな日本の現状のままで、いやむしろその方が、仲村トオルと西田敏行と大森南朋の関係性は十分作れたような気がします。
あの設定のために違和感が生まれて、ドラマを見る側の邪魔になっている気がしてもったいないです。

違和感で言うともう一つ。

韓国の事件モノを見ていると、かなりな率で証拠のねつ造とか杜撰な捜査とかが出てくるんですよね。極端な言い方をすると、韓国ドラマでは警察はあまり優秀には描かれない傾向があります。
権力による介入とかも、まるで日常茶飯事のように出てくる。
ひょっとしたら韓国の事件捜査の現状が本当にそうなのかもしれません。 韓国の人々は、そういった機関を信じてはいないのかもしれません。
もっと言うと権威そのものを憎んでいるのかも。大統領が変わるたび、前大統領が犯罪者として罰せられるお国柄ですもんね。 そこが日本とちょっとちがうんですよね。

日本のドラマでは基本的に警察を優秀に描きます。
何故ならその方がこの国の人々にはリアルに感じるからです(本当のリアルは証拠隠滅や捏造、隠蔽など、表に出ていないだけかも知れませんが)。
正義を遂行する機関は正義であってほしい、いやあるべきだ、そう信じている、というところでしょう。

その観点から見ると、「サイン」日本版では警察がユルいからリアルに感じない。
簡単に隠蔽が行われて、それを見て見ぬふりの管理官。
大事な証拠品を新人解剖医が勝手に持ち出してきちゃう。
本来ならまともに口をきけない階級差の女性上司に、妙に馴れ馴れしい若手刑事…
細かいことを言い出したら枚挙に暇がありませんが、要するに、こういったリアリティの無さって不思議なことに、積み重なると、見ている側にはボディブローのように効いてくるんですよね。
それは、事件モノ好きの人にはもちろん、そうでない人にも何故か作用するようです。

視聴率のことはその時間帯の環境にもよるので簡単には言えませんが、1話が「韓国で大ヒットしたドラマのリメイク」という期待値でお客さんが集まったのに(14.3%)、2話で大きく落ちてしまった(9.5%)のはそういった要因もあったと思います。

ただ、2話は、事件に特化した作りになっていて純粋に楽しめました。だから3話で持ち直したんだと思います(11.5%)。

韓国版がヒットしたのも、陰謀の縦軸もさることながらやはりCSIのような科学捜査モノとしてのクオリティの高さが大きな要素だったと思います。

日本版でもヒットさせるためには、やはり我々日本人が見た時のリアリティを重視する必要があります。それは「架空の設定=ダメ」ということではなく、見る側の潜在意識に寄り添うことだと思います。

だから2話で犯人と争って3m近く背中から落下した柚木が、ひょっこり起き上がって「石頭だから平気」と言うのは、やめた方がいいですね。誰がどう見てもおかしい。「ウソだー」ってなっちゃう。
こういうことがお客さんの信頼を損ねてしまって、継続視聴を妨げることになるんです。

韓国版は、最終回ではとんでもないことが起きます。
日本版でも同様の展開にするでしょうか?
視聴率がこのところ2週続けて二桁来ているのは、お客さんが期待をしている証拠。 果たしてどうなるでしょうか?

「サイン」日本版 視聴率データ

第1話(7月11日放送):14.3%
第2話(7月18日放送):9.5%
第3話(8月1日放送) :11.5%
第4話(8月8日放送) :9.5%
第5話(8月15日放送):10.7%
第6話(8月22日放送):9.9%
第7話(8月29日放送):10.0%
第8話(9月5日放送) :11.1%
第9話(9月12日放送):-%

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