ドラマ【サイン】日本版最終回はあれでいいの?ネタバレ 感想

大ヒット韓国ドラマのリメイクということで話題となったテレビ朝日のドラマ 「サイン〜法医学者 柚木貴志の事件〜」が最終回を迎えました。 どんな終わり方をしたのでしょう?韓国版との違いは?

ドラマ【サイン】日本版最終回ストーリー(ネタバレ)

第一話で殺害された人気アイドル・北見永士(横山涼)の事件がいよいよ解決に向かいます。

警視庁捜査一課の管理官・和泉千聖(松雪泰子)とその部下・高橋紀理人(高杉真宙)は、次期総裁候補・島崎藤一郎(小木茂光)の娘・島崎楓(森川葵)が歌手・北見永士を窒息死させるために使ったと思われる“青いクマのぬいぐるみ”を押収します。

新人解剖医・中園景(飯豊まりえ)は北見の喉から見つかった“青い繊維”を、そのクマと照合するために、解剖医・柚木貴志(大森南朋)らが待つ「日本法医学研究院」へと急行します。

景はここに来る前、法医研院長・伊達明義(仲村トオル)から、植物状態の妹を助ける代わりに証拠品を渡せ、と取引を持ちかけられていました。 伊達院長は、島崎議員と法医研の支援を密約をしていたため、島崎議員の娘・楓を守る必要があったからです。

でも景は、それを跳ね除けました。 そんな犠牲を払ってまで持ってきた“青い繊維”。これで楓の犯罪を証明できる、と勢い込む面々。

ところが、検査の結果、なぜか楓のぬいぐるみと成分が一致しません。 そんなはずはない!激昂する柚木。
実は伊達が、助手の四方田隼斗(小久保寿人)にこっそり青い繊維を差し替えるよう命じていたのです。
後で本物の証拠品を受け取った伊達は、それを捨ててしまいます。

結局、何の成果も挙げられず、その責任を負うことになった千聖とその上司の捜査一課長・下山益男(利重剛)。二人は閑職への左遷が決まり、異動までの1週間、千聖は一切の捜査を禁じられます。

しかし柚木は諦めません。事件当時のライブ会場の監視カメラを再びチェックします。
すると、映像が一部削除されていることに気付きます。

そこで、マスターデータを管理していた当時の鑑識官・奥野(廣川三憲)に話を聞くため、柚木と紀理人は彼の入院する病院を訪ねます。
奥野は重度の糖尿病を患って目が見えなくなったため、既に退職していたのです。

ところが奥野は、北見事件の話を切り出した途端、激しく咳き込み「何も知りません」と繰り返すだけ。
仕方なく柚木は連絡先だけ渡して帰ります。

その後、妻から「真実を明かした方がいい」と説得された奥野は、覚悟を決めて紀理人に電話をし「明日の11時に病室へ来てほしい」と伝えました。
傍で吉川警部(水澤紳吾)が、これを聞くともなしに聞いている様子。

翌日奥野は「鑑識中に吉川が来て、データの一部を削除するよう命じられ、かわりに金を渡された」と告白し、編集前の画像が入ったHDD(ハードディスク)を渡します。
ところが渡した相手は、なんと、島崎議員の秘書・佐々岡充(木下ほうか)だったのです!
佐々岡は、吉川からの密告を受け、予定時刻より早く奥野を訪ねて「柚木の代理人」を装ったのでした。

先手を打たれて万策尽きた柚木たち。 しかし、柚木はまだ諦めません。

落ち込む千聖を叱咤し、景には兵藤邦昭(西田敏行)元院長のような理想の解剖医を目指すよう激励します。
何か覚悟を決めたように見える柚木。 一体どうするつもりなんでしょう?

翌日、柚木の部屋になんと楓が訪ねてきます。 前の晩、柚木は楓に「監視カメラの元画像を手に入れた」と伝え、自宅で会う約束をしていたのです。
柚木は、HDDを取り出し「すぐに自首しろ。でなければこの中にある監視カメラの元画像をネットに流す」と楓を脅します。 「なら、画像を今ここで見せて」とせがむ楓。

柚木はHDDを持って椅子から立ち上がると、パソコンを操作しはじめました。 その隙に楓は、バッグから何やらビンを取り出し、中の薬品に親指を浸します。
立ち上がり、柚木に近づく楓。
その気配に振り返った柚木に「永士がどうやって死んだか知りたい?」と囁くと、ゆっくり口づけをします。 続いて薬品のついた親指を柚木の唇へ。
途端に苦しみだし、椅子に倒れ込む柚木。 楓はそこに覆い被さり、クッションを柚木の口に当てて押さえ込みます。 もがく柚木。
やがてその動きが止まると、楓は凶器に使ったクッションとHDDを持って立ち去ります。

しばらくの後、景がやってきます。実は柚木は楓が到着する直前に、景に一時間後に来るよう連絡を入れていたのです。
そんなことを知るはずもない景。 部屋に入り、柚木が心停止状態であることに気づき、愕然とします。
必死で蘇生措置を試みるのですが… 既に手遅れでした。
なんと柚木は死んでしまったのです。

捜査一課が臨場し、吉川から事情聴取を受ける景。 吉川は、柚木が精神的に病んで自殺した、という結論に誘導しようとします。激しく抵抗する景。

一方千聖は、禁じられているにも関わらず捜査の指揮を執り、柚木の部屋を捜索します。
額絵に違和感を感じた千聖。額縁を外すと中から隠しカメラが!

一方、柚木の遺体は法医研へ運ばれます。解剖するのは伊達院長。
佐々岡から「自殺もしくは病死と診断しろ」と命令される伊達。

しかし、解剖しようとした時、柚木の遺体が消えてしまいます。 なんと景が、こっそり持ち出していたのです。 まさに第1話で柚木が北見永士の遺体を真実の隠蔽からから守るために持ち出した時の様に。

景は、解剖室へ立て篭もると、柚木の解剖を勝手に断行。
これを見て「早く止めろ!」と騒ぐ佐々岡。
しかし伊達はそれを拒否し、逆に「出て行け!」と告げ、佐々岡を追い出してしまいます。

景は、柚木の気管から繊維を取り出します。 そして柚木が北見の解剖をした時と同じように「窒息死。これは他殺です 」と断定したのです。

景のこの解剖結果と、千聖が発見したカメラの映像とで、ついに楓の犯行を裏付けることができました。 北見永士と柚木貴志への殺害容疑で楓は逮捕されます。
そして父親の島崎は衆議院議員を辞職。

こうして一連の事件は解決しました。
千聖らは、隠しカメラの映像から、柚木が鏡越しに、楓が毒薬を親指に塗る姿を確認していたのを知ってしまいます。
柚木が自分の体に真実のサインを残そうと、わざと楓に殺されるよう仕向けたことに愕然とする千聖たち。

しかし景はそれに反対します。実は柚木が生きようとしていた、ということに気付いたからです。
先日景は、柚木に頼まれて解毒剤「亜硝酸アミル」を渡していました。楓に襲われたとき、柚木はそれを上着のポケットから取り出そうともがきます。その姿がカメラに映っていたのを発見したのでした。
柚木は死のうとしていたんじゃない、ちゃんと生きようとしていたんだ。 それを知り、少しだけ救われる景たちでした。

エピローグでは、その後の登場人物たちの姿が描かれます。

左遷が取り消され、再び捜査一課課長を目指して捜査に向かう千聖。
柚木の墓参りをし、権力に迎合しないやり方で法医学の発展のために尽くすことを誓う伊達。
景は、植物状態の妹の病室で、父の陽一(中村まこと)から、柚木が景の腕前が上がってきたことを嬉しそうに褒めていた話を聞きます。 「いい先生に弟子入りできてよかったな」父の言葉に涙する景。 すると、握っていた妹の手が僅かに反応します。

ラストは、柚木の遺志を継いだ景が、法医研へ入ってきた新人たちにその遺志を語り伝えるシーンで…

ドラマ【サイン】日本版最終回 あれでいいの? 感想・視聴率

韓国版と同じく、柚木が自らの体を犠牲にして楓の犯罪の真相を明かしましたね。 やはり、主人公が死ぬ、と言う衝撃のラストが使いたくてこの企画を選んだんだな、ということが確認できました。

でも… 命を賭けて真実を明かそうとした、で終わるかと思いきや、「先生は生きるつもりだったんだ!」ということを発見して感動…って言う部分、必要でしたかね?
景は救われませんよね。だって景がもう少し早く到着していれば柚木は助かったんですから。自分のせいで先生を救えなかった!という、とてつもなく大きな傷を心に負うのが当然でしょ。それなのに、「先生は生きるつもりだったんだ」って感じ入ってる。これはどう考えても不自然です。

おそらくですけと、日本側制作者たちはこう考えたのではないでしょうか。
主人公が命を賭けて真実を明らかにする、かっこいいし感動的なラストだから使いたい。 だけど、ちょっと待てよ、リアルに考えてそこまでするような人いるかな?視聴者に「えー、こんなやついねーよ」って引かれたらおしまいだから、本当は生き返る計画だったことにしようか?うん、そうしよう…と。

その気持ち、よくわかります。 だってあの事件を解決することに、命を賭けるだけの事情や伏線があればまだ納得がいきますが、原作ドラマ全体を通して見ても、そういうわけでは無いですもんね。 だから柚木は証拠を掴むために博打を打った、ということにすれば辻褄が合う気がしたのでしょう。

でもねえ、そのせいで柚木がおっちょこちょいな人になっちゃいましたよ。だって作戦が失敗して死んじゃったんですから。
それに、景の気持ちがめちゃめちゃ不自然になっちゃいました。 だから泣けないんです。残念なことに。

このドラマ上の警察は、かなり酷い状態に設定されています。 権力側の様々な思惑と妨害で、本来捜査すべきことがちゃんと行われていません。
最終回の監視カメラの編集なんて、刑事がちゃんと見ていればとっくの昔に発見されてますよ。それを柚木がしなきゃならないなんて。せっかく天才解剖医なのに、もったいない。

ここに、リメイクの難しさが現れていると思うんです。
ドラマって人間の営みの物語だから世界中共通する普遍的な要素はあると思います。 でも、国や民族によって文化は異なりますよね。 このドラマの警察の設定は、韓国ドラマに共通する、悪くて情けない警察です。 これは韓国に人たちにとったら見慣れたドラマ設定なのでしょう。
でもそれは、韓流ドラマとして見ている分には気にならないけど、日本が舞台の日本人が演じる日本のドラマとしてみた場合、どうしたって違和感を感じます。それが文化の違いというものなのかもしれません。

外国のドラマをリメイクする場合には、こうした文化の違いに根差したディテールの精査も、すごく大事な気がします。なぜならそのディテールがストーリーを規定しまうからです。
柚木らキャラクターたちが、その影響を受けてしまったのは残念です。

でも、全9話、視聴率が10%前後で最後までキープできたというのは、事件モノとしての精度を上げ、そういった違和感をねじ伏せたからに相違ありません。そこはこのチームの力でしょう。お疲れ様でした!

第1話(7月11日放送):14.3%
第2話(7月18日放送):9.5%
第3話(8月1日放送) :11.5%
第4話(8月8日放送) :9.5%
第5話(8月15日放送):10.7%
第6話(8月22日放送):9.9%
第7話(8月29日放送):10.0%
第8話(9月5日放送) :11.1%
第9話(9月12日放送):12.1%

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